【地域助け合いによる生活支援と一対となった移動支援サービス】(やなぎ社会福祉士事務所)

みんな困っています、高齢や障害で出かけるにも足がない。少子高齢化、家族構成の変化(核家族、お一人様)、若者の流失、ご近所つきあいの希薄化、生活スタイルやニーズの多様化、免許返納など、様々なことをはらんでいますが、移動の手段を誰でも気軽に安心して確保できる十分なインフラがないことは事実です。移動の問題は地域の最大の関心事だと言っても過言ではない。

「お出かけすることは人間の欲であり希望です」

自分が行きたい場所にいつでも気兼ねなく自由に行きたいを叶えることは生きる励みに繋がるのです。

出かける機会を失うということは、単に食料品が調達できずに食べられない、お薬がもらえずに病気が悪化するという表面的な理由だけではないのです。

お出かけの機会を失うということは、その方の精神的な健康に重大なリスクとなります。「外の空気を吸う、違う景色を見る、人と会話する、気分展開、社会参加・交流機会の損失(隠された本当のニーズの発見が遅れる)」様々なリスクににより、引きこもりや閉じこもりによる精神疾患の発症、認知機能の低下の恐れもあります。そう考えるとお出かけできないことは個人のみならず社会全体としてもリスクでしかないのです。

私にお話ししてくれた方がいます。
「実は買い物や通院にかこつけて外に出かけたいんです」

デパートでウインドウショッピングがしたい、旅行に行きたい、温泉に行きたい、家族旅行がしたい、趣味のサークルを続けたい、映画や演劇や音楽会に行きたい、友達と食事に行きたい、孫の顔を見に行きたい。

でもみんな諦めている、もう年だから、足が不自由だから、障害で車イスだから..何よりも行くための足がない。

自分で買い物が無理なら、買物代行や配達・通販を頼めばいいという簡単な話ではないです。自分で行って見て回って自分で買い物をしたいのです。もう一度長年通いつめてどこに何が置いていあるかすべて分かっているスーパーでお買い物がしたいのです。

竹沢地区には移動販売車が月2回来るようになりました。これはとても前向きな取り組み有り難いのですが、私に言わせればたった月2回決まった時間にしか来ないでは、その場限りお買い物イベントに過ぎない。

お買い物に行くことも生活の一部です。生活していれば、いつ何が必要になってすぐに買いに行く必要が生じるかはわからない。来週のお買い物イベントまで待っていられないのが現実ではないでしょうか。

そんな時に気軽にすぐに買い物に連れて行ってくれる人がいますか。昔は隣近所のつきあいがその問題を解消してきた。買い物に行くときに一緒に乗せて行ってくれる?という感じで声をかけられる関係性です。幸いにも竹沢地区ではそんな温かい雰囲気が今でも残っています。

しかし、身寄りが無く頼れる人がいない方々、移住されてきた方でまだ地域との繋がりが成熟していない方々、住宅地やマンション・アパートにお住まいの一人暮らしの方々は、隣近所に声をかけるどころか、顔も知らないという方もいます。(これはこれでコミュニティの課題をはらんでいますが…)

例えば夫に先立たれてお一人暮らしの高齢お奥様、子供がいないか子供がいても遠方に住んでいて、買い物やちょっとしたことをしてもらうために、仕事を休んで帰ってくることもなかなか頼めない。

タクシーや福祉有償運送があっても、基本的にはドアからドアまでの送迎のみ、スーパーや病院に着いたら、それではと帰ってしまう。本当にみなさんが求めているのは送迎と付き添いなのです。

10分でスーパーに送ってもらって、買い物に1時間かかるなんてざらです。高齢でゆっくりしか歩けない、眼が見えなくて買いたい物が見つからない、車イスなのでどうしても時間がかかってしまう。レジでの会計も不安、荷物が重くなるのでたくさんは買えない。

病院でも同じです、着いてからの受付、診療科への移動、検査への移動、待ち時間の心細さ、お会計の不安、薬の受取り、荷物持ち、トイレの案内、帰りにちょっとした買い物、みなさんが一番欲しいのは、家族の代わりとなるような安心安全を得られる付き添いなのです。

私は目的地までの送迎、そして必要があれば買い物付き添い、病院内の付き添い、ここまで含めて移動支援だと考えています。(生活支援と一体化した移動サービスと国は呼んでいます)。

住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるためには移動を支えてくれるサポートがどうしても必要なのです。交通空白地帯と呼ばれる山間部では特に緊急に必要です。

今現在ホットな話題として今回取り上げさせていただきましたが、早急に町として移動支援をどう考えるかを検討できる第三者地域協議会のような組織の設置が求められていまする。多種多様な支援者で様々な意見を議論できる仲間の集まりです。行政だとか民間だとか自治会だとかボランティア団体だとか、いつまでもこだわって、横の連絡も無い分断された状態では、今の世の中に本当に必要な新しいサービスは生まれてきません。

これを実現するには大きな巨大な鉄壁があります。
○縦割り行政(行政の高齢担当、障害担当、交通担当、社協など)
○業者間の縦割り(タクシー、NPO法人、民間団体、住民団体など)

社会の移動支援の確保のためやるべきは、まずは縦割りを潰し横から串刺す関係作りです。町の移動支援を総合的に一体的に話し合える組織の設置です。

やなぎ社会福祉士事務所 代表 柳辰夫

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