コラム『認知症家族の介護について』(ボケを一緒に楽しむ)。

私は「認知症は治らない」の考えに疑問を呈します。私が経験した感覚で言わせていただくと、以前と比べて認知症状が改善した方がいます。認知症は早期発見・早期治療が大切であるとよく言われます。また、認知症になると進行を遅らせることはあっても症状が改善することはまずないと言われます。認知症の原因や症状は人それぞれ違いますので、一概には言えませんが、私は「認知症は治らない」の考えに疑問を呈します。確かに、高齢になればなるほど認知症の発症割合は増加して、認知症は加齢とともに進行し酷くなるばかりとも言います。でも、完全に治ることはありえませんが、認知症状が低減したり良い方向に改善することはあると思います。科学的根拠やデータは何もありませんので強くは言えませんが、私が経験した感覚で言わせていただくと、以前と比べて…認知症状が改善した方がいます。脳の神秘は私たちが到底解明できるものではありません。

「性格が明るくなった」「前向きにものごとを考えるようになった」「自己肯定するようになった」「布団から起きて活動するようになった」「忘れていた家事をするようになった」「天気のいい日は散歩に出かけるようになった」「笑顔が増えて人と話すようになった」「尿失禁が減ってトイレに行くようになった」「何度も同じ事を聞かなくなった」「今日のことを思い出そうと努力するようになった」「自分からメモをとるようになった」「学習意欲がでてきて行けなくて悔いが残る高校に行きたいと言い始めた」

はたして、認知症になるともうダメなのでしょうか?認知症の親を介護する家族は大変で辛く耐えられない日々を過ごさなければいけないのでしょうか?家族が認知症になっても、認知症の親を介護するようになっても、私たちが毎日楽しく幸せに今を一生懸命に生きることに何ら変わりはありません。

ボケると嫌なことは忘れてしまって楽しいだけの人生になるようです。そもそも自分に都合の悪いことは健全な生命活動にとって害だから忘れるようになっているらしい。ボケると人間の感情的な部分が表に出やすく本能の素の部分が活きはじめるから純粋だった子供のようになってかわいい。過去のことを忘れてしまうからある意味毎日が新しい発見の連続でワクワクするみたいです。誰しも自分の親が長生きになったから、あたりまえのように子供は認知症の親を介護する機会に遭遇する時代となりました。

訳のわからないことを言ったら、こちらもふざけて訳のわからないことを言い返しましょう、そうすればなにを言っているのだ?、ボケの上をいく突き抜けた大ボケを言います。するともういいよ!って笑って済んでしまいます。信頼関係があれば自然と笑顔が生まれます。

何度も同じことを聞いてきます、ほんとうにうんざりしますが、こう聞かれたらこう答えるという定番を作っておけば、その都度考えていちいち答える必要もなく苦ではなくなります、例えば、何回答えても、「どこに行くんだい?何時に帰ってくるんだい?」って聞かれるのでいつも同じ答えを言っています。「天国に行ってくるから帰りは神様次第だよ」。こんなふうにとぼけた返事を言ってるのに毎回初めて聞いたかのように、「あーそうかい!」と納得してくれます。

意味がわからなくても認知症の方の言動にはすべて理由があります。他の人にとったら意味のわからない不可解な言動でも、本人にとったら常に本気で大真面目で当たり前の言動をしているだけなのです。そのことに少しでも気づけてわかってあげられたなら認知症状を納得できたりします。【お金はあるかい?お小遣いあげようか?寒くないかい?服を買ってあげようか?ご飯は食べたかい?卵を焼こうか?車に気をつけるんだよ!早く帰ってくるんだよ!】。もう自分では何もできないのに子供を気遣ってくれます。何歳になっても親は親ですね。

認知症の方に必要となる日常的なお世話の手間は介護の専門家がいます。惜しみなく介護保険サービス等を利用して楽をしましょう。また、財産管理や身の回りの手続きなどは後見人に任せる方法もあります。使えるものは使って自分自身の人生を楽しみましょう。介護のために自分のプライベートを犠牲にしたり仕事を辞めたりなんて絶対にしたくありません。

認知症を介護する方は、「ボケを一緒に楽しむ」「自分もいつかはボケる」「自分がボケたときの予行練習だ」、このくらいの視点で認知症家族に接することができたら、少しは精神的負担が軽くなるのではないかと思います。今の段階ではあまりにも理想的で幻想的な話ですが…、認知症の程度が軽くても重くても、認知症家族の介護に向き合うときの意識「ボケを一緒に楽しむ」は、非常に大切なキーワードであると思います。私は、ボケを楽しみだしたら認知症介護の負担が軽くなったように感じます。私は「ボケの上をいく突き抜けた大ボケ」を目指しています。

認知症介護は一人で悩まず相談してみてください。何か力になれるかもしれません。

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